サプライチェーンScope3排出量算定コンサルティング市場の現状
気候変動対応の規制強化に伴い、企業のGHG排出量開示義務が拡大しています。特にScope3(バリューチェーン排出量)は、多くの企業で総排出量の70%以上を占めるにもかかわらず、算定の複雑さから開示が遅れていました。2021年のTCFD附属書改訂以降、Scope3開示は「強く推奨」から事実上の必須要件となり、2022年の東証プライム市場におけるコーポレートガバナンス・コード改訂でも明示的に求められています。
このような背景から、カーボンアカウンティング・コンサルティング市場は急成長しており、2024年の137億ドルから2032年には621億ドルへ拡大する見通しです(CAGR 24.4%)。特に化学プロセス分野では29%の成長率を記録し、サプライヤーエンゲージメント機能を持つプラットフォームは2025年までに28億ドルの収益機会を創出すると予測されています。
Scope3算定の課題とコンサルティングの役割
Scope3排出量の算定には、以下の15カテゴリをカバーする必要があります:
| 上流カテゴリ | 下流カテゴリ |
|---|---|
| 購入した製品・サービス | 販売した製品の使用 |
| 資本財 | 販売した製品の廃棄 |
| 燃料・エネルギー関連活動 | リース資産(下流) |
| 輸送・配送(上流) | フランチャイズ |
| 事業から出る廃棄物 | 投資 |
これらのカテゴリごとに、支出ベース算定、ハイブリッド法、サプライヤー固有データ法を使い分ける必要があり、専門的な知見が求められます。さらに、多くの企業では社内にカーボンサイエンティストが不在であるため、マネージド・プロフェッショナルサービスが年率32.3%で成長しています。
主要コンサルティングファームの特徴
- Big4会計系コンサル(Deloitte, PwC, EY, KPMG)
- グローバルネットワークを活用した包括的なESG・サステナビリティコンサルティングを提供。財務報告との統合、SBTi目標設定、CDP対応支援まで一貫対応。特にDeloitteはWorkiva連携のScope3計算ダッシュボードを開発。
- 専門サステナビリティコンサル(Sphera, Ricardo, GEP)
- 業界特化型の算定手法と実測データを保有。製造業・化学・鉱業などエネルギー多消費産業に強み。Spheraは実世界排出量データベースとEHS統合ソリューションを提供。
- 日本国内プレイヤー(アスエネ等)
- 国内10,000社以上に導入されるクラウド型カーボンアカウンティングSaaSを展開。中小企業向けの算定代行サービスも提供し、日本市場の規制対応に特化。
選定時の確認ポイント
- GHGプロトコル準拠:国際標準に基づく算定手法を採用しているか
- SBTi認定経験:Science Based Targetsイニシアティブへの申請支援実績
- 業界専門性:自社の業種特有の排出源を理解しているか
- データ収集支援:サプライヤーエンゲージメントの仕組みを持っているか
- 継続性:年次更新の運用プロセスまで支援できるか
「Scope3算定は1回限りではなく、毎年更新が必要です。初年度の算定精度よりも、継続的に改善できる体制構築が重要です」(サステナビリティ報告実務者の声)