ESG報告書保証業務の市場動向
日本におけるESG報告書の第三者保証市場は、2026年の段階的義務化開始を前に急速な成長期を迎えています。金融庁の「サステナビリティ開示・保証ワーキング・グループ」での議論を経て、時価総額3兆円以上の企業は2027年3月期から、1兆円以上の企業は2028年3月期から、500億円以上の企業は2029年3月期からSSBJ基準に基づくサステナビリティ情報の開示が義務化されます。
現状では、日経225構成企業の66%が何らかの第三者保証を受けており、GHG排出量に関しては40%以上の企業が保証を取得しています。マテリアリティを特定しKPIを設定している企業のうち78%が少なくとも1つのKPIについて第三者保証を受審していますが、全KPIに対する保証取得は2.5%にとどまっており、今後の大幅な拡大が見込まれます。
保証業務の国際標準
ESG報告書の保証業務には、ISAE3000(国際保証業務基準)およびISSA5000(国際サステナビリティ保証基準)が用いられます。これらの基準は監査法人のみならず、他の専門家も利用可能な「profession-agnostic」な設計となっていますが、日本では当面、監査法人が主要な担い手となる見込みです。
Big4監査法人の圧倒的シェア
グローバル市場では、Big4監査法人(EY、Deloitte、PwC、KPMG)がESG保証業務の42%を占めており、日本市場でも同様の寡占状態が見られます。各法人は気候変動・人的資本などの専門家チームを擁し、経営戦略立案から統合報告書作成まで一気通貫でサービスを提供しています。
| 監査法人 | 売上高(2023年度) | 上場企業クライアント数 |
|---|---|---|
| 有限責任監査法人トーマツ | 1,428億円 | 907社 |
| 有限責任あずさ監査法人 | 1,117億円 | 707社 |
| EY新日本有限責任監査法人 | 1,095億円 | 914社 |
| PwC Japan有限責任監査法人 | 609億円 | 117社 |
非監査業務の急拡大
Big4監査法人の2022年度収入において、非監査業務が占める割合は30%に達しており、ESG開示支援などの需要拡大が背景にあります。各法人はサステナビリティ専門部門を強化し、研修実施や人員増強を進めています。
保証対象の現状と展望
当初2年間の保証義務範囲は、Scope 1 & 2排出量、ガバナンス、リスク管理に限定される方向で検討されています。日本企業は環境データの保証受審割合が高い一方、社会データについては依然として低水準にとどまっています。グローバルESG保証サービス市場は2022年の15.4億ドルから2028年には58.9億ドル(CAGR 27%)へと急成長が予測されています。
中小監査法人・独立系プレーヤー
Big4以外にも、約120の監査法人がESG保証業務を提供可能とされています。一般社団法人非財務情報保証協会のような独立系組織は、AIとITを活用した高品質かつ手頃な価格の保証サービスを提供し、より多くの日本企業がESG保証を取得できる環境整備を進めています。