Tier認証取得データセンターの選定基準
Uptime Instituteが定めるTier認証は、データセンターの可用性・冗長性を第三者が客観評価する国際標準です。現在、世界122カ国で4,000件以上の認証が発行され、インフラ投資判断の最も信頼される指標となっています。
Tier認証の3つのレベル
- Tier Certification of Design Documents (TCDD)
- 設計図面段階での認証。構想中のプロジェクトで取得されることが多く、実際の構築完了まで数年を要する場合もある。
- Tier Certification of Constructed Facility (TCCF)
- 竣工後の施設認証。設計通りに冗長構成が実装され、物理的に基準を満たしていることを証明。ハウジング先選定で最も重視される認証。
- Tier Certification of Operational Sustainability (TCOS)
- 運用継続性認証。管理体制・保守手順・組織能力まで評価する最上位認証。Gold認証取得施設は北米でも数施設のみ。
Tier III vs Tier IV:投資対効果の分岐点
Tier IIIは同時保守可能性(Concurrently Maintainable)を保証し、N+1冗長構成により計画停止なしで保守を実施できます。年間稼働率99.982%、計画外停止は年間1.6時間以内が目安です。
Tier IVはフォールトトレラント(Fault Tolerant)設計で、あらゆる単一障害に対して無停止を実現します。年間稼働率99.995%、計画外停止は年間0.4時間以内ですが、構築コストはTier IIIの1.5〜2倍に達します。
| 要件 | Tier III | Tier IV |
|---|---|---|
| 電源経路 | N+1(冗長あり) | 2N(完全二重化) |
| 冷却システム | N+1 | 2(N+1) |
| 同時保守 | 可能 | 可能 |
| 単一障害許容 | 不可 | 可能 |
| 稼働率目標 | 99.982% | 99.995% |
金融・医療などミッションクリティカル用途以外では、Tier IIIで十分なケースが大半です。クラウド事業者の多くもTier III構成を標準としています。
認証取得施設の地理的分布
北米・欧州・アジア太平洋の3地域で全認証の約85%を占めます。特にシンガポール、東京、フランクフルト、北バージニアは認証施設が集積し、グローバル展開企業のハウジング先候補として定番化しています。
日本国内では、Digital RealtyやEquinixなどグローバル事業者の施設が認証取得済みです。国内大手キャリアの施設は独自基準や日本データセンター協会(JDCC)のファシリティスタンダードに準拠するケースが多く、Uptime Institute認証は限定的です。
認証施設選定時の注意点
Design認証のみの施設は、実際の構築完了まで入居できない、または設計変更により最終的な認証レベルが異なる可能性があります。ハウジング契約前にはTCCF(Constructed Facility)認証の取得状況を必ず確認してください。
また、認証取得後も定期監査や更新手続きが必要です。古い認証が失効している施設も存在するため、Uptime Instituteの公式データベースで最新ステータスを照会することを推奨します。