サプライチェーン炭素排出量開示の最前線
2027年3月期から、プライム市場の時価総額3兆円以上企業に対してScope3を含む気候関連情報の開示が義務化されます。日本企業のScope3開示率は時価総額1兆円以上で68%、全体では48%となっており、世界的な脱炭素トレンドを背景に急速に拡大しています。
多くの企業において、Scope3排出量は自社の直接排出(Scope1+2)の26倍に達することが明らかになっており、サプライチェーン全体での排出管理が企業の気候変動対策の核心となっています。
開示義務化の段階的スケジュール
| 適用時期 | 対象 |
|---|---|
| 2026年3月期 | 任意適用開始 |
| 2027年3月期 | 時価総額3兆円以上(約70社) |
| 2028年3月期 | 時価総額1兆円以上(160-170社) |
| 2029年3月期 | 時価総額5000億円以上 |
| 2030年代 | プライム市場全上場企業 |
業種別開示状況
Scope3開示率が50%を超える業種:
- 化学(60%)
- 電気機器(59%)
- 銀行(58%)
- 食料品(58%)
- 機械(57%)
これらの業種では、投資家や顧客からの圧力、規制対応、そして同業他社との競争により、開示が先行しています。
CDP気候変動Aリストと日本企業
2025年、日本からは約2,100社がCDPを通じて環境情報を開示し、過去最多の240社以上がAリストに選定されました。コニカミノルタは8回目の最高評価、九州電力は電気事業者として唯一の2年連続選定を獲得しています。
「日本は環境に関する透明性についてフランス、トルコとともにリードしており、各市場においてAリスト選定企業の割合が最も高い」— CDP 2025レポート
商社セクターの先進事例
三菱商事は商社業界で初めてScope3カテゴリ11(販売に伴う排出量)を全体で開示。2021年度の総排出量は3億8,125万トンで、移行リスクの高い「トランスフォーム事業」由来が約1億4,300万トンとなっています。三井物産もScope3排出量の70%がトレーディングに由来することを開示し、2030年までに30%削減を目標としています。