ISO17025認定を取得した食品アレルゲン検査機関
食品中のアレルゲン物質の表示は、世界各国で法的義務として定められています。日本では食品表示法により特定原材料8品目(卵・乳・小麦・えび・かに・そば・落花生・くるみ)の表示が義務付けられ、欧州では14種類のアレルゲン、米国では主要9品目のアレルゲン表示が求められています。
これらの規制に対応するため、食品メーカーの品質保証部門ではISO/IEC 17025認定を取得した試験所でのアレルゲン検査が標準的な実務となっています。ISO17025は試験所・校正機関の能力に関する国際規格であり、技術的能力と品質管理体制の両面から第三者認定を受けた機関のみが保持できる認証です。
世界の主要アレルゲン検査機関
| 企業名 | グローバル拠点数 | 特徴 |
|---|---|---|
| Eurofins Scientific | 世界各地にISO17025認定ラボ多数 | ELISA・PCR法によるアレルゲン検査に対応 |
| SGS | 115カ国・2,500以上の試験所 | 14種類のアレルゲンすべてに対応 |
| Intertek | 1,000以上の試験所、食品専門29拠点 | ドイツ・英国・中国に卓越センター |
| ALS Limited | 英国・チェコ・スウェーデン等 | ラテラルフローアッセイによる迅速検査も提供 |
日本国内のISO17025認定アレルゲン検査機関
日本国内では、公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)や国際試験所認定協力機構(ILAC)のMRA(相互承認)に基づき、JCLA(日本臨床検査標準協議会)やその他の認定機関がISO17025認定を付与しています。
- 日本食品分析センター:日本国内で最大規模の認定範囲を持つ試験所。食物アレルゲン検査、グルテンフリー、残存タンパク質検査に対応。
- ファスマック(FASMAC):消費者庁通知法に基づき、卵・牛乳・小麦についてELISA法でISO17025認定取得。
- 食環境衛生研究所:アクリルアミドや残留農薬の認定取得実績があり、アレルゲン検査にも対応。
技能試験スキームと精度管理
ISO17025認定試験所は、定期的に技能試験(Proficiency Testing: PT)に参加することが義務付けられています。食品アレルゲン検査の分野では、FAPAS(Food Analysis Performance Assessment Scheme)が世界最大規模の技能試験プロバイダーとして知られています。FAPASは100カ国以上・4,500以上の試験所が参加しており、卵・牛乳・カゼイン・ホエイ・大豆・グルテンなどのアレルゲン検査の技能試験を提供しています。
FAPASはISO/IEC 17043:2023に基づきUKASから認定を受けており(認定番号0009)、試験所が正確な分析能力を維持しているかを客観的に評価します。
検査手法:ELISA法とPCR法
ISO17025認定を受けたアレルゲン検査では、主に以下の2つの手法が用いられます。
- ELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)
- アレルゲンタンパク質を抗体で検出する免疫学的手法。定量性に優れ、加熱処理された食品にも対応可能。
- PCR(Polymerase Chain Reaction)
- アレルゲン由来のDNAを増幅して検出する遺伝子工学的手法。微量のアレルゲンや高度に加工された食品の検査に有効。
多くのISO17025認定試験所では、これら両手法を組み合わせることで、より信頼性の高い検査結果を提供しています。
認定試験所を選ぶ際のポイント
重要な注意点として、試験所がISO17025認定を持っていても、認定範囲は検査項目ごとに異なります。例えば「卵と大豆のアレルゲン検査」には認定があっても、「甲殻類やグルテン」については認定範囲外である場合があります。各国の規制当局が認定試験所での検査を求める場合、必ず該当するアレルゲン項目について認定を受けているかを確認する必要があります。