HPP受託加工市場の現状
High Pressure Processing(HPP)受託加工市場は、食品メーカーが多額の設備投資なしに超高圧技術を活用できる手段として急成長している。全世界で稼働するHPP装置は400台以上にのぼり、そのうち約15%が受託加工サービスとして提供されている。2026年のHPP装置市場は5億7,350万ドル規模であり、2035年には8億8,960万ドルまで成長する見込みだ。
主要な受託加工プロバイダー
米国ではUniversal Pureが最大規模のHPPサービスプロバイダーとして7拠点に22台の装置を展開し、全米の主要食品生産拠点から1日圏内にサービス網を構築している。日本市場では株式会社東洋パスカリオが東広島市に専用工場「PASCALLIO」を開設し、100MPaから600MPaまでの幅広い圧力域での受託加工を提供。角井食品は宮崎県のミオサイ工場に日本では数少ないHPP装置を導入し、2016年から技術研究を重ねてきた。
技術的特徴と用途
HPP技術は5℃~20℃の低温環境下で最大600MPa(深海1万メートル相当の圧力)を食品に加えることで、熱を使わずに微生物を不活化する。この非加熱処理により、ビタミン・酵素などの栄養素や、色・風味といった品質特性を損なうことなく、賞味期限を延長できる。世界市場では果汁・飲料が約20%、食肉加工品が約20%、野菜加工品・ディップ・ソースが約20%、海産物(牡蠣・貝類の殻剥き等)が約6%を占める。日本では寿司用魚介類の約25%がHPP処理され、食品安全性の向上に貢献している。
市場展望
アジア太平洋地域のHPP市場は2035年まで年率5.2%で成長し、中国・日本・インドでの都市化、保存料不使用プレミアム製品の需要増、政府による食品安全キャンペーンが成長を牽引する。中国と日本ではHPP処理済み果汁・飲料の売上が年間25%増加しており、今後も受託加工需要の拡大が見込まれる。