パラメトリック型キャットボンド市場の急成長
2025年のキャットボンド発行額は過去最高の256億ドルを記録し、残高は613億ドルに達した。2026年もこの勢いは継続し、約200億ドルの発行が見込まれている。この成長を牽引しているのが、従来の損害ベーストリガーではなく、風速や震度といった物理パラメータで支払いが確定するパラメトリック型トリガーの採用拡大だ。
パラメトリック型が選ばれる理由
2025年10月のハリケーン・メリッサによるジャマイカ向け1.5億ドルのキャットボンド全額トリガーは、パラメトリック型の迅速性を実証した。従来の損害査定を待たず、客観的基準に基づく即座の支払いが可能なため、再保険会社はカウンターパーティリスクと支払遅延リスクを大幅に削減できる。ハノーバー再保険は2026年1月更改でパラメトリック地震カバーを追加、この流れを加速させている。
市場を支える専門プレイヤー
| 企業タイプ | 代表的企業 | 特徴 |
|---|---|---|
| 投資銀行系 | Goldman Sachs、BNP Paribas、Deutsche Bank | ストラクチャリング・引受・流通市場造成 |
| 保険ブローカー系 | Aon Securities、Willis Towers Watson Securities、Howden CMA | スポンサー仲介・リスク評価・配置 |
| 再保険会社系 | Swiss Re Capital Markets、Munich Re Capital Markets | スポンサー兼アレンジャー・自社リスク証券化 |
| ILS専門 | Twelve Securis(旧Twelve Capital) | パラメトリックILSファンド運用・組成 |
Swiss Reは市場創設以来トップアレンジャー兼スポンサーとして君臨し、2025年にはFarmers Insurance Group向け4億ドル債を組成。Howden CMAは2021年比500%成長で全発行の25%を獲得、急速にシェアを拡大している。
モデリングとリスク評価
パラメトリック型であっても、トリガー設定には高度な災害モデリングが不可欠だ。市場で最も利用される2大モデリング企業はVerisk AIRとMoody's RMSで、風速・震度とロス発生確率の相関分析を提供する。World Bank案件では、これらモデルに基づきAon SecuritiesとSwiss Re Capital Marketsが共同ストラクチャリングエージェントとして機能した。
2026年の市場展望
アタッチメントポイントの交渉が2026年更改の焦点となるが、高いアタッチメントポイントによるボラティリティ耐性は維持される見込み。二次的ペリルとパラメトリックトリガーのイノベーションが、市場の保守的構造を損なうことなく拡大を促進する。— Twelve Securis 市場見通し
G20財務大臣会合でもパラメトリック保険とキャットボンドの拡大が提唱され、グローバルな政策支援が追い風となっている。BelizeのソブリンデットにWillis Towers WatsonとMunich Reが提供した「カタストロフィ・ラッパー」は、債務再編にパラメトリック保険を組み込む世界初の事例として注目された。