ローカル5G構築市場の現状
2019年の制度化以降、ローカル5G(自営5G)は製造業のDX推進において重要な通信インフラとして認識されている。2023年11月末現在、総務省が公表する免許人数は152者に達し、基地局免許申請は2022年1月から2024年12月の期間で累計2,063件を記録した。このうちソニーワイヤレスコミュニケーションズが約7割を占めるが、NTT東日本が「国内トップクラスの基地局構築実績」を掲げるなど、構築事業者の競争は激化している。
2025年以降は本格普及期に入るとされ、初期の商用化時に5年総額1億円が目安だったコストも、NTT東日本の「ギガらく5G」が5年総額約2,200万円を実現するなど、中小企業への裾野拡大が現実味を帯びてきた。
構築事業者の類型
ローカル5G構築を支援する事業者は、大別して以下の3類型に分かれる。
- 通信キャリア系
- NTT東日本、KDDI、ソニーワイヤレスコミュニケーションズなど。自社の通信インフラ構築ノウハウを活かし、免許取得から運用保守までワンストップで提供。
- ITベンダー・SIer系
- 富士通、NEC、富士ソフト、NTTビジネスソリューションズなど。エンタープライズシステムとの統合に強みを持ち、基幹システムとの連携設計が必要な案件で選ばれる。
- 専業インテグレーター系
- レンジャーシステムズ、京セラみらいエンビジョンなど。特定技術や特定業界に特化し、GMOインターネットの国内初SA構成免許取得支援(レンジャーシステムズ)といった先進事例を持つ。
技術トレンド:O-RANとSA構成
Open RAN(O-RAN)準拠の基地局装置が普及し始めており、NECと富士通が相互接続性検証で先行している。また、スタンドアローン(SA)構成のローカル5Gは、4G設備に依存しない純粋な5G環境を実現し、超低遅延が求められる産業用ロボット制御やリアルタイム映像伝送で必須とされる。2020年にGMOインターネットが国内初のSA構成免許を取得した際、レンジャーシステムズが免許申請を支援したことは、専業事業者の技術力を示す象徴的な事例である。
スマートファクトリー実装の実態
NTT東日本は2024年1月、調布市の「NTT e-City Labo」内に「ローカル5Gスマートファクトリー&ロジスティクスラボ」を開設し、変種変量生産への対応を検証している。富士通は新川崎テクノロジースクエア内に「FUJITSU コラボレーションラボ」を構築し、1,000件以上の問い合わせに対応。広島ガス廿日市工場での保安業務高度化実証など、実フィールドでの実装も進む。
KDDIは2019年から九州工業大学およびデンソー九州工場で産業用ロボット制御の実証を実施しており、工場内有線回線の無線化によるレイアウト変更の柔軟性向上を実証した。
購入前に確認すべきポイント
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 対応周波数帯 | Sub6(4.6~4.9GHz)かミリ波(28.2~29.1GHz)か。工場の広さと用途で選択が変わる。 |
| SA構成対応 | 4Gインフラ不要の完全5G環境が必要か。超低遅延用途では必須。 |
| 免許取得代行 | 総務省への無線局免許申請を代行するか。初回申請では専門知識が必要。 |
| O-RAN準拠 | 特定ベンダーに依存しないマルチベンダー構成が可能か。 |
| 運用保守体制 | 24時間365日対応か、平日のみか。製造ラインの稼働形態と合わせる。 |