希土類永久磁石材料供給企業の現状
希土類永久磁石市場は2026年時点で約147億米ドル規模と推定され、電動車(EV)の普及に伴い年率6.7%で成長を続けています。中でもネオジム磁石(NdFeB)は全市場の過半を占め、EVのトラクションモーター向けが用途全体の45%以上を占めるまでになりました。
サプライチェーンの地理的集中
希土類磁石の供給体制は中国に極度に集中しており、採掘で69%、精錬・合金化・磁石製造では90%近いシェアを中国企業が握っています。この集中は調達リスク管理上の重大な課題となっており、日米欧の自動車メーカーは代替サプライヤーの開拓を急いでいます。
主要供給企業の特徴
| 企業タイプ | 代表例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 中国大手 | JL MAG、寧波雲升、Zhong Ke San Huan | 規模・価格競争力に優れる。JL MAGは世界最大手で2024年に2.9万トン生産 |
| 日本メーカー | Proterial(旧日立金属)、信越化学、TDK | 高性能グレード(耐熱性・保磁力)で強み。NEOMAX®等のブランド製品を保有 |
| 欧米新興 | Neo Performance Materials、Noveon Magnetics | 脱中国依存を目指す顧客向け。生産能力は限定的だが拡張中 |
調達担当者が注目すべき観点
- ライセンス保有状況
- 主要特許(旧住友特殊金属、Magnequench等)のライセンスを保有しているか。寧波雲升は日立金属ライセンスを持つ中国企業として知られる。
- 垂直統合度
- 原料調達から磁石製造まで一貫体制を持つか。JL MAGは贛州(重希土産地)と包頭(軽希土産地)に拠点を持ち垂直統合している。
- 技術ロードマップ
- 重希土類(ジスプロシウム、テルビウム)フリー磁石の開発状況。Proterialは2025年に重希土類フリーで100℃以上対応の新材料を発表。
今後の展望
EV普及に伴い、2035年までに市場規模は約297億米ドルへ倍増すると見込まれています。同時に、地政学リスクへの対応として日米欧での生産能力増強(Noveonは年産1万トンへ拡張計画)や、リサイクル技術への投資が加速しています。